日本人向けインタビュー

BTSプンナウィティ駅周辺は意外と過ごしやすいエリアだった

2000年代初頭からBTSプロンポン駅やトンロー周辺というのは日系企業駐在員が暮らすエリアで、今ほどではないにしても日本人向けサービスが多く、在住日本人の多くが訪れるエリアだった。エカマイから先はほとんど行くことがなく、2010年を過ぎてBTSスクムビット線がオンヌットより先に延伸されたときになって初めて耳にする地名も多かった。BTSプンナウィティ駅もそのひとつだ。

インタビューをするために初めて降り立ったプンナウィティ

スクムビット通りソイ101が別名プンナウィティ通りという。

バンコクは基本的に大通り「タノン」に接続する小路「ソイ」で市街が構成される。ちなみに、基本的に番号は起点を背にして左が奇数、右が偶数で、必ずしも近い数字が向かいあっているわけではない。そして、タノンに接続する主要なソイ、大きなソイは別名がつけられていることが多い。トンロー通りやエカマイ通りがそうだ。

この点でいうと、プンナウィティも主要な道であるといえる。実際、駅を降りてからこのソイに入ると、市場、飲食店や雑貨店などが多数目に入ってくる。生活に必要なものはこのソイですべて揃うといっても過言ではない。

今回は「タイ駐在チャンネル」で吉田氏をインタビューするために訪れた。ディアライフも広告を掲載する無料誌の元編集長で、もともとはタイと日本を行き来する生活をしていた、デザイン関係の仕事をする人物だ。新型コロナウイルスの蔓延まえに氏の会社でデザインをしていたその無料誌の編集長に就任することになり、今は生活の拠点がタイにある。

以前からこのエリアを知っていたこともあり、動画で撮影した物件に暮らす。ディアライフが扱うのは主にBTSプラカノン駅やトンロー駅を中心にしているので、この近辺には紹介できる物件はない。氏は自分の足と知りあいの伝手でここに来た。

この物件は一見コンドミニアムだがアパートだ。地域性もあって、ほとんどの入居者がタイ人。新しめのアパートということもあって、このアパートは規則が多い。そのおかげもあって、ほかの入居者はおとなしい人も多く静かだし、すべてがきれいに保たれている。

物件外観を撮影するために外で通りなどを撮影していると、意外な場面をいくつか目撃した。

バンコクを外れていく方向なのに高級車が多い

かつてはオンヌットがBTSスクムビット線の終点だったので、オンヌットでさえバンコクの郊外というイメージを持っていた人は少なくない。実際、同じ家賃で部屋を借りるなら、プロンポンなどと比較してもオンヌットはずっといい部屋がある。というか、ディアライフで扱うような高い家賃は存在しないといってもいい。

そこよりももっとバンコクの外へと向かった場所がプンナウィティだ。初めて来た筆者としては、この地域はよほどの下町なのではないかと思っていた。しかし、その予想を超えるものがいくつか目に入った。

そのひとつが高級車だ。ポルシェやフェラーリ、マクラーレンといった超高級車が何台も通る。プロンポン駅の『エムクオーティエ』といった高級デパートでも確かに見かけるが、それとほぼ同じ確率で見かけるのだ。

タイは近年物価上昇が著しいが、それとは関係なく昔から自動車は値段が高い。タイ国内にある日系メーカーであっても、同じ車種が日本よりもずっと高くなる。輸入車となれば3倍などはあたりまえ。これは関税などが高いといわれるものの、実は税金の計算方法によりそうなるようだ。特にスポーツカーなどはより高く、日本で3000万円くらいの価格だと、タイでは1億円を超える。それが何台もこのソイを走っているのだ。セダンタイプのベンツなどがむしろ普通に見えるくらいである。

吉田氏に訊くと、プンナウィティの奥は高級住宅地に繋がっていることがその理由のようだ。トンローなども高級住宅街とはいえ、どちらかというとコンドミニアムが多いのに対し、この辺りは大邸宅がいくつもあるのだとか。

とはいえイメージどおりの生活水準も混在するおもしろさ

高級住宅地がうしろにあるとはいえ、普通の食堂などもあるし、ぱっと見た感じでも昔ながらの普通のアパートもたくさんある。市場もあるしコンビニもあるので、もともと筆者の中にあったような、一般大衆的な生活水準でも暮らすことができる。

取材も兼ねて吉田氏行きつけのイサーン料理店(タイ東北部料理店)に移動した。プンナウィティの奥にある『ソムタム・クンガン』だ。ここはオープンエアの席が多い、タイ・ミシュランガイドのビブグルマンに何年にも渡って紹介されている。そう聞くと高そうにも思うが、普通のイサーン料理店(屋台ではなくレストラン系)と同じ価格水準だ。味はもちろん、店員の態度もよく、居心地のいい店だった。

賛否はあるかもしれないが、この店にはタバコも吸える席があって、そこはこの店のネコがいつも陣取っている。ふてぶてしくて、客が来ても寝ている場合は微動だにせず、客が椅子の端に座る。ネコ派の筆者にとってはそれだけでうれしくなるもの。

こういった名店もあるので、プンナウィティは(一般的な日本人以外は)仕事以外ならすべてここで完結できる。思ったより魅力的なエリアであった。

ディアライフではこの地域の物件は扱っていない

住みやすいエリアではある。しかし、バンコク初心者にはちょっと難しいとも筆者は思う。日系企業駐在員として初めてタイに来る人にとってはハードルが高い。

というのは、まずこの地域の物件をディアライフでは扱っていない。そもそも日系企業駐在員だと、家族帯同なら幼稚園や日本人学校通学で、駐在員本人や単身者も仕事関係の打ち合わせや外食などを考えると、やや遠すぎる。それに、万が一なにかあったとき、日本人が多く集まるエリアのほうがなにかと助けあえるので安心だ。

吉田氏はタイに慣れていること、現在の氏のタイ法人のスタッフが手伝ってくれることもあって、こういったエリアでも問題はない。駐在員ならあまり遅くない時間帯に散策してみるのはおすすめだ。

▶動画はこちら